こんにちは! 現役保育士はなえみです(転職でホワイト園に巡り会えました!→ プロフィールはこちら)。
過去にうつ病を患ったことがある保育士の方は、転職の面接でうつ病だったことをどう話したらいいのか悩みますよね。
- 「できれば話したくない」
- 「でも、もし尋ねられてしまったらどうしよう」
- 「聞かれたら全部本当のことを言うべきなのかな」
なんて、不安に思いますよね。
この記事では、過去にうつ病だった保育士が、「転職の面接でうつ病のことを言うべきか?言わないのか?」そして、「うつ病のことを言ったとき、言わないときのそれぞれのリスク」について詳しく解説します。
あなたの場合はどうすればよいのか、この記事を参考にしていただけたら幸いです。
目次
雇用側はうつ病などの精神疾患歴を嫌がる
保育士を雇用する側は、過去に精神疾患などの経歴がある人を雇うのを嫌がります。
なぜなら、園は人を増やすことで、現場の保育士の負担を減らし、より円滑に業務を運営したいと考えています。
つまり、しっかりと戦力になって長く働いてくれる人を求めているんです。
そのため、保育士を面接する時には、戦力になり長く働いてくれる人かどうかを見極めようとします。
なので、「前の職場を辞めた退職理由」や、「仕事をしていない空白期間」については、面接で納得いくまで確認します。
その際、大きなマイナスポイントとなってしまうのが、「うつ病などの精神疾患を患っていた」という理由です。
その答えを聞いたとたん、雇用する側としては、「えっ?」と身構えます。
その結果、ほとんどの場合、「不採用」になってしまいます。
もし、骨折など、完治したかどうかがはっきりわかるケガや病気であれば、雇用側もそれほど気にしないでしょう。
しかし、うつ病となると話は変わってきます。
うつ病は、完治していても何らかのストレスがきっかけで再発する可能性が高く、治りにくい病気だからです。
万が一、うつ病だった保育士を採用してうつ病がぶり返した場合、症状がさらに悪化すれば休職してしまうかもしれませんからね。
その原因が、「職場の業務のせいだ」と言われるのは、雇用側としても避けたいんです。
誰だって、予測できる厄介ごとは、取り除いておきたいですからね。
また、雇用側は職員の負担を減らすために戦力になる保育士を雇いたいのに、その保育士がうつ病では意味がないですよね。
うつ病の症状が出ていなくても、気を使って仕事の負担を減らしたり、休みをきちんと取らせるようにしたりなど、周りが配慮しなければなりません。
どんなに能力が高く人柄の良い保育士でも、うつ病を抱えているとなれば、いつ体調を崩し欠勤してしまうかわからず、さらに、そんな状態で安全な保育ができるかどうかは危ういですよね。
また、長期休職することになれば、子どもだけでなく保護者への影響も出てきます。
それなら、雇用側としても、能力や人柄は平均的でも心身が健康で長く働き続けられる人を選びたいですよね。
雇用側としても、今いる保育士や子どもたち、保護者を守らなければなりません。
そのため、既往歴にうつ病がある保育士を雇うことは、どうしても難しくなってしまうんですね。
聞かれなければうつ病だったことをあえて言う必要はない
残念ながら、うつ病の病歴があることは、転職活動においてとても不利です。
では、うつ病だったことは言わない方がいいんでしょうか。
その答えは、「病歴や持病について向こうから聞かれなければ、申告する必要はない」です。
たとえば、「今の健康状態はいかがですか?」との質問であれば、病歴を聞かれたわけではなく、あくまでも今の健康状態を聞いたわけです。
そうとらえれば、現在あなたのうつ病は完治しているので、「今の健康状態は特に問題ありません」と答えればいいです。
「今の健康状態が問題ない」ことが事実であれば、嘘をついたことにはなりませんからね。
ましてや、健康状態の話題が出なかったのなら触れる必要はありません。
「うつ病だったことを言わないのは、隠しているようで気が引ける」と思う方もいるでしょうが、何でも正直に話せばいいってものでもありません。
話すことで、大きなリスクを負うことになってしまいます。
なので、現在、うつ病による体調不良がなく通常勤務が可能なら、過去の病歴のことをあれこれ話して、雇用側を不安にさせる必要はないです。
転職を有利に進めていこうとするなら、向こうが過去の病歴について触れてこなければ、こちらからわざわざ言うことはないでしょう。
もし病歴について聞かれたらどう答える?
一方、面接で、「既往歴や持病があれば教えてください」などの質問があれば、それは、「うつ病を含む過去の病歴について聞かれている」ことになります。
このような質問がされたとき、答え方の選択肢は2つあります。
- 「うつ病だったことがあるが、現在は完治していて勤務に支障はない」と伝える
- 「特に大きな病気はしていません」と答え、うつ病のことは言わない
では、どういうことなのかを詳しく説明しますね。
「うつ病だったことがあるが、現在は完治していて勤務に支障はない」と伝える
これは、「聞かれたら正直に答え、うつ病だったことを知った上で採用してくれる職場に転職する」という考え方ですね。
- 「既往歴について聞かれたのに、隠したり嘘をついたりするのは気がとがめる」
- 「職場には、自分の病歴について知ってもらった上で働きたい」
- 「病歴について話しておけば、体調が悪くなった時にも言いやすいし配慮してもらいやすい」
など、そのような思いが強いのであれば、正直に答える方がいいでしょう。
確かに、「病歴について聞かれたのに言わなかった」という罪悪感を抱えながら働くのは、後々つらくなってくるかもしれませんね。
そう思うのであれば、正直に言った方が精神的には楽になりますよね。
その時は、「現在うつ病は完治していて体調は良く、通常の勤務ができる」と加えて言いましょう。
できれば、「通常の勤務が可能」といった医師の診断書も添えて伝えられると説得力が増しますよ。
自分で勝手に、「大丈夫」と言っているわけではないことの証明になりますからね。
ただ、うつ病のことを言った場合は、「なかなか採用されない」ということが起こってくるかもしれません。
雇用する側も、自分たちの利益や職員を守らなければならないという事情がありますからね。
うつ病に対して理解があり、あなたの体調を配慮しながら業務につかせてくれる職場にめぐりあうまでには、時間がかかるかもしれませんね。
それをあらかじめ見通したうえで、不採用が続いてもへこまず根気よく転職活動を進めることが大切です。
「特に大きな病気はしていません」と答え、うつ病のことは言わない
もう一つの選択肢は、「病歴について聞かれても、うつ病にかかったことは言わない」というものです。
うつ病だったことを言わなければ、保育園業界は人手不足なので、応募や面接を続けていればいずれは採用されるでしょう。
さらに、新しい園の仕事や職場に順調に慣れ、うつ病の再発がなければ、誰もあなたのうつ病の過去を知らないまま、何の問題もなく月日は過ぎるでしょう。
あなたにとっては、これが最も理想的な展開ですよね。
しかし、うつ病は再発しやすい病気であり、再発の可能性はゼロではありません。
心配なのは、新しい職場に強いギャップを感じたり、頑張りすぎて無理をしたり、人間関係で悩んで、再び体調が悪くなることです。
転職は、普通の人にとっても負担が強いものです。
ましてや、うつ病になったことがある人には、さらに強い緊張感と疲労感が伴い、ストレスになる可能性があります。
もし、そのせいで再び通院や服薬が始まり、遅刻や欠勤が増えてくれば、それは、「うつ病再発のきざし」かもしれません。
ですが、うつ病だったことは園に伝えていないので、「体調が悪いので休みたい」「通院したいので休みが欲しい」「勤務の負担を減らして欲しい」などと頻繁には言えません。
すると、我慢や無理を重ねることになり、どんどん症状は悪化していくことになります。
また、うつ病だったことを言わないかわりに、嘘や作り話でとりつくろい、いつも後ろめたく気が気ではなくなります。
そんな状態になってから、「実は、以前にうつ病になったことがあって…」と上司に打ち明けても、状況は厳しくなるだけです。
「えっ?うつ病だったこと、隠していたの?」と思われ、不信感を持たれてしまいます。
そうなると、職場の居心地は一気に悪くなって、仕事のやる気も失せてしまうんです。
さらに、「病歴を隠していたことが業務に多大な損失を与えた」と判断された場合には、最悪解雇、あるいは退職勧告される可能性もあるんです。
うつ病の症状がぶり返した上に勤務先での立場まで悪くなると、仕事や生活を平穏に営むことができなくなってしまいます。
そんな悪循環によって欠勤が続けば、最終的には休職、あるいは退職することになりかねません。
言っても言わなくてもリスクはある
病歴について聞かれたとき、正直に本当のことを言うのは、一般的に見れば模範的で望ましい態度です。
自分の良心も痛まず、堂々としていられます。
しかし、そのせいで転職活動が停滞し仕事に就けないと、「収入が得られず生活できない」という問題が起こります。
一方、病歴を言わないでいれば転職先が決まりやすく、その時は喜びとやる気で調子も上向いてくるでしょう。
しかし、新しい職場に適応できなかった場合はうつ病の症状がぶり返し、さらに病歴を知られてしまうと職場に居づらくなるおそれがあります。
つまり、「言っても言わなくても、どちらにしてもリスクがある」ということです。
なので、あなたにとっては、「どっちのリスクの方がまだマシなのか」を考えて、とるべき態度を決めるといいです。
あなたのうつ病の状態や諸事情などを考え合わせて、判断することになるでしょう。
書面で病歴の申告を促されたら、聞かれたことと同じ
ただ、面接で病歴について聞かれなかったとしても、健康状態の確認として書面で既往歴や持病について記入して提出するように言われる場合があります。
書面とはいえ、これは、「病歴について聞かれたことと同じ」です。
うつ病について書けば、「言ったことと同じ」ですし、書かなければ、「言わなかった(隠した)ことと同じ」意味合いになります。
ちなみに、過去のうつ病のことを言わずに(書かずに)採用されたとしても、法律で罰せられるようなことはありません。
ただ、うつ病だったことを言わずに(書かずに)隠して働いたことにより、業務に多大な損失を与えてしまった場合は、解雇や退職勧告されることがあるんですね。
聞かれなければうつ病で休職したことを言う必要なない
前の職場で、うつ病の治療や休養のために休職したことがある場合、すでに回復していても、うつ病で休職していたことを転職の面接で言うべきなのでしょうか。
答えは、「特に聞かれなければ言う必要はない」です。
そもそも、履歴書の「職歴」には、前の職場に勤務していた期間だけを書けばよくて、休職のことが書かれていなければ、採用担当者は気づきようがないんです。
つまり、面接ではあなたが休職期間について自分から言わなければ、その話題にはならないでしょう。
ただし、入職後に源泉徴収票を提出した時、「あれ?」と思われるケースはあります。
休職期間が長期にわたっている場合、源泉徴収票の収入額が極端に少ないことから、「無給の期間があったんだな」と知られることがあるんですよね。
しかし、源泉徴収票に休職の理由や期間までは書いていないので、「うつ病のため休職していた」ことはわかりません。
また、気づかれることもまれであり、休職期間が短ければ収入総額はそう変わらないので、心配することはないでしょう。
ですが、万が一のことを考えて、休職理由をたずねられた時の答えは用意しておくと安心でしょう。
もちろん、現在はうつ病が回復していることが前提で、「家族の介護のために休職した」などの、自分のうつ病ではない別の理由を述べるようにしましょう。
まだうつ病が完治していないなら面接で伝えておく
まだ、あなたのうつ病が完治していない場合は、面接でうつ病のことを言うべきです。
「言ったら採用してもらえないのでは?」と心配するより、採用された後にどんな問題が起こってくるかを気にかけた方がいいです。
まず、転職して新しい職場で働き始めると、心身ともに疲れがたまってきます。
新しい環境や仕事に慣れるのには時間がかかりますし、うつ病が回復していない体にとっては、しんどい状態になります。
そんな状態が続くと、次第に体調が悪化するかもしれませんよね。
そんなときには、通院のために休みをもらいたくなりますし、状況によっては勤務内容や勤務時間の変更なども考えた方がいいこともあります。
しかし、うつ病のことを伝えていなければ、そのような局面になっても何も言いだせないし、誰も頼れません
そんな逃げ場のない状況で勤務を続けていても、心穏やかに働けませんよね。
悪くするとやがて休職、そして退職などということにもなりかねません。
うつ病が完治していなければ、転職はもう少し先にする
そもそも、まだうつ病が完治していなければ、転職自体をもう少し先に延ばした方がいいです。
先ほども述べたように、「過去にうつ病にかかって、現在は完治している」という状態でも、転職活動においてはハンデです。
それなのに、今うつ病であることは、完全に不利です。
もし、うまく採用されたとしても、ほどなくうつ病の症状が悪化して再び休職、最悪退職もあり得ます。
そんなことになれば、あなたの職歴がさらに傷つき、雇用側も採用した保育士にすぐに辞められて非常に困ります。
あなたと雇用側の双方にとって、何も良いことはないのです。
それでも、どうしても働きたい場合は、「うつ病を抱えていても、勤務には差し支えない」ということを応募先にアピールする必要があります。
たとえば、「服薬していれば症状が安定している」「短時間勤務なので体への負担はない」など、勤務に支障がないことを強調しましょう。
なんなら、担当医から、「軽い仕事であれば勤務しても差し支えない」ということを一筆書いてもらい、それを提示しながら話すのも良いでしょう。
ただ、そうは言っても、うつ病を抱えたままで転職することは避けた方がいいです。
見切り発車で仕事を始め、うつ病が悪化してしまっては、これまでの治療の努力が水の泡です。
「うつ病だったことを言う、言わない」の前に、「しっかりと働ける状態にまでうつ病が回復しているのかどうか」を見極めることが大切です。
その問いに対して、自信をもって「YES」と言えた時に、初めて転職活動のスタートラインに立てるんじゃないでしょうか。
あなたの場合は、どうするのがベストなのか?
これまで、色々なケースについて解説してきましたが、あなたが一番知りたいのは、「自分の場合は、どう判断したらよいのか」ということですよね。
うつ病の症状の程度は個人で違いますし、在職中なのか、休職しているのか、退職したのか、空白期間がどれぐらいあるのかなど、今置かれている状況も違うでしょう。
そうなると、単純に、「こうするのがいい」とここでいうことは難しいです。
「うつ病回復後の転職活動について、どう考えて行動するべきか」という、あなた個人の相談をしたいときは、「保育士転職サイト」を頼るといいです。
保育士転職サイトに登録したら、担当のキャリアコンサルタントにうつ病だったことや今の悩みをすべて話してみましょう。
それを踏まえて、キャリアコンサルタントがあなたの転職活動へのアドバイスをしてくれます。
また、あなたに合った職場や働き方なども提案してくれますよ。
もちろん、うつ病のことを話しても、キャリアコンサルタントが応募先に漏らすことはありません。
あくまでもあなたの立場に立って相談に乗ってくれるので、安心して活用してくださいね。
まとめ
転職活動をしていく上で、「不利なことは言いたくない」「隠したままで何とかうまくいかないかな」と思うことはありますし、その気持ちもよくわかります。
しかし、「うつ病などの精神疾患について言わない」ことが良いのかどうかは、特に判断が難しいです。
うつ病と一口に言っても、今の状態がどれくらい回復しているのかは人によって違います。
また、「うつ病が治っていれば問題ない」のか、「既往歴にうつ病があったらNG」なのかも、採用する園によって判断が違います。
あなたの場合の答えも簡単には出ないでしょう。
ですが、保育士転職サイトのキャリアコンサルタントに話を聞いてもらい、気持ちを整理したりアドバイスをもらったりするのはいいと思います。
とにかく、ひとりで悩んで考え込まないよう、一人でも多くの味方を作り転職情報をできるだけ集めることが大切です。
面接をうまく切り抜け採用されたとしても、それは一時的なものです。
本来は、その職場で長く勤務し続けていくことがゴールです。
そのために、どんな選択をするのがベストなのかをゆっくりと考え、あなたなりの方向性を見いだしていきましょう。