こんにちは! 現役保育士はなえみです(転職でホワイト園に巡り会えました!→ プロフィールはこちら)。
30代の保育士の方は、保育園に勤め始めておよそ10年がたっているころですね。
仕事にはすっかり慣れているのですが、
- 「保育園の仕事がわかりすぎてマンネリを感じる」
- 「私の保育観と園の保育方針がやっぱり合わない」
- 「このままこの園で働き続けていても、主任になれないんじゃ…?」
なんて思って、「やっぱり転職しようかな…」と考えるのは自然なことです。
この記事では、30代保育士の方が転職する時の心構えや注意点、そして転職を成功させるポイントについてお伝えします。
30代保育士の転職事情がよくわかるので、転職に迷っている人も一歩前に踏み出せるかも。
この記事を参考にしながら検討してみてくださいね。
目次
30代保育士は転職して大丈夫?
不満はいろいろありながらも今の園に腰を落ち着けてしまっている30代保育士の方が本気で転職を考えるとき、やっぱり不安になりますよね。
- 「20代ならともかく、30代というこの年齢での転職ってどうなのかな…?」
- 「今の園を辞めて次の仕事ってすぐ見つかるのかな」
- 「他の園に行っても今の園と同じじゃ意味ないし…」
などと思いますよね。
ですが、30代保育士の方が転職するケースはたくさんありますし、むしろ自分の人生を真剣に考えるなら転職を視野に入れるべきだと思います。
つまり、30代の保育士が転職することには何も問題はないんです。
たとえば、今も保育士不足は深刻で、保育士の求人は非常に多いです。
具体的には下の、「保育士の有効求人倍率の推移」の図を見てみましょう。
有効求人倍率とは、仕事の数(求人数)と働きたい人の数(保育士の数)との割合を示すものです。
まず、「有効求人倍率:1」を基準にします。
そして、有効求人倍率が「1」より小さい数は、「求人数<保育士数」を表すので、仕事探しが難しいということになります。
一方、有効求人倍率が「1」より大きい数字になると、「求人数>保育士の数」となるので、人手が足りていないということになります。
令和元年7月の有効求人倍率は2.68倍(オレンジ矢印)なので、これは人手不足の状態を表しています。
この数値は前年の7月の2.50倍に比べて0.18増えています。
つまり人手不足は加速しているということですね。
また、毎年12月~1月は緑の四角で囲ってあるように、有効求人倍率が最も高い数値になっています。
これは、1年間の中でこの時期が最も保育士の求人が多く出るからなのですが、平成27年から平成30年にかけてその数値だけを緑の矢印で追ってみると、毎年増えていることがわかります。
つまり、ずっと保育士不足は続いていて、今後も続く見通しがあるということです。
このような状態なので、30代の保育士でも採用される確率は比較的高いと言っていいでしょう。
もちろん、一般的な転職の場合、35歳過ぎから採用されにくくなっていくのと同様、保育士の転職も20代に比べれば30代の需要は減ってきます。
そう考えると、30代保育士は比較的転職しやすいものの、成功させるにはキチンと戦略を練り、しっかり情報をとって進めることが大切ですね。
応募先の園が30代保育士に求めていることをつかみ、あなたの強みを合致させれば採用の可能性はグッと高まります。
30代保育士の転職理由
まずは、30代保育士が転職したくなる理由について整理してみましょう。
それは以下の5つになります。
- 労働条件が悪い
- 人間関係が悪い
- 体力的にキツイ
- 結婚、出産などライフステージの変化
- キャリアアップしたい
では、詳しく見ていきましょう。
労働条件が悪い
「労働条件が悪い」と言ってもいろいろありますが、特に不満を持つのが、
- 給料が安い
- 労働時間が長い
- 持ち帰り仕事が多い
- 有休がとりにくい
の4つでしょう。
まず、30代保育士の月給額を平成30年度賃金構造基本統計調査で見てみると、
- 30~34歳の平均額は230,800円
- 35~30歳の平均額は237,000円
となっています。
この額は、「基本給+毎月決まった諸手当」であり、毎月変動の残業代などは入っていません。
また、税金や社会保険料を引く前の金額となっているので、手元に残るのはその80%でしょう。
具体的には184,640円~189,600円ということになります。
この金額より低い場合は、ちょっと考えものですね。
- 「今の給料では生活が精一杯で貯金もままならない」
- 「結婚やそのあとの子育てを考えるともっと給料がほしい」
- 「そもそも仕事量の多さと給料がつりあっていない」
といった不安や不満を持っている30代保育士の方は多く、転職して給料を上げたいと思います。
そして、保育士の労働時間は確かに長いです。
シフト制で時間通りに出勤しても、退勤時間に上がることは難しいことがほとんどです。
何かしらの仕事が残っているので、時間の長短はあっても毎日のように残業しているのではないでしょうか。
そして残業だけでは終わらない場合は、家に持ち帰って休日にも仕事をすることがあります。
20代では何とかこなしていても、30代になり体力的にきつくなってきたり、家庭を持ったりすると、そこまで仕事に時間をあてられません。
自分の休養のための時間や、家庭のための時間を確保しなければやっていけません。
また、有給休暇も取りづらいのもネックです。
人員不足でクラスに代わりに入ってくれる人もいなかったり、上司にいい顔をされなかったりすると、なかなか有給はとりづらいですよね。
そんな状況でも、結婚して子どもができると子どもが体調不良の時はどうしても有給をとらなくてはなりません。
私も子どもが小さいときは月に1回は熱を出していたので、そのたびに有給をもらっていました。
私が組んでいた先輩は理解がある人だったので、嫌なことを言われることはなかったんですが、それでもとても気を遣いました。
もし、人間関係が悪い職場で働いていたら、もっと上司や先輩の顔色をうかがい、嫌みに耐え、同僚にも気を遣うなど肩身の狭い思いをしていたと思います。
人間関係が悪い
園の人間関係が悪いことも大きなストレスです。
10年余りの社会人経験がある分、対人関係もそれなりにうまく築ける力はついていると思います。
しかし、それでも付き合いにくい人というのはいます。
また、これまではよい同僚だったのに、何かのきっかけでお互い不信感を持ったり、嫌がらせをされるようになったりなど、人間関係には変化がつきものです。
あるいは、今までの園長とはうまくやれていて、保育方針も共感できたのに、園長が変わったとたん職員への締め付けが強くなり働きにくくなることもあります。
多少のことなら我慢すべきでしょうが、毎日園に行くのが気が重くて体調までも悪くなりそうな場合には、その園からは離れた方がよいのかもしれません。
体力的にキツイ
仕事をしていると、20代のころに比べて、「体がきついな」と感じることはあるでしょう。
これはある程度は仕方のないことですね。
子どもとの追いかけっこで息切れしたり、おんぶや抱っこを長時間するのがしんどくなったりします。
さらに、あまりにも毎日の業務量が多すぎて労働時間が長すぎると、余計に体力の回復ができず、いつも疲れている状態になります。
体の疲れが取れないと気持ちも明るくなれませんよね。
「体力的に余裕を持って働ければ、子どもたちにも保護者にももっと笑顔で接することができるのに」と思いますよね。
結婚、出産などライフステージの変化
30代に入ってくると、結婚や出産などライフステージが変化する場合が多く、それが転職の理由になることが多いです。
家庭を持つと、これまでのように仕事にばかり時間をさいてはいられませんよね。
家庭生活を成り立たせるためには、今までよりもプライベートな時間が必要です。
もし、子どもが生まれれば、子育ての時間も必要です。
子どもが理由の有給休暇を取る必要も出てくるでしょう。
そう考えた時に、今の園の勤務状況で、子どもの都合で有給を取るなど家庭生活の時間を確保できるでしょうか。
そもそも、今の園に、子育てしながら働く「先輩ママさん保育士」はいますか?
もし、そういう方がいれば、仕事と子育てとの両立はしやすい園だと思います。
でも、前例がないとなればあなたがその第1号になるわけです。
そうなれればよいのですが、ちょっと厳しいと思うのなら、今のうちに子育てがしやすい園への転職を考えた方がよいかもしれませんね。
たとえ、今は結婚の予定がなくても、「いずれ結婚したいな、子どももほしいな」と思っているのであれば、今のうちからそのときのことを想定しておいた方がよいです。
「私は、結婚したら専業主婦になるから大丈夫!」という方もいるかもしれませんが、人生いつどうなるかわかりません。
想定外になったときのことを考え、働き続ける選択肢として今の園でやっていけるかどうかを考えてみてください。
キャリアアップしたい
30代保育士の方の中には、「いずれはキャリアアップしていきたい」と思う方もいるでしょう。
園によって呼び名は違いますが、たとえば、幼児クラスのリーダー、主任、副園長、園長と昇格していく形ですね。
園の運営に携わる立場になっていくと、責任が重くはなりますがやりがいがあります。
たとえば、現場で保育に当たるのとは違った形で、園全体の子どもたちや保護者をサポートします。
また、職員が仕事をしやすいように、物理的にも精神的にも支えたり、時には指導したりするのが役割です。
そして、自分の年齢が上がるにつれて体力がなくなってきたときにも、キャリアアップすれば現場とは別の形で保育園の仕事に携われ、おまけにお給料アップも望めます。
ですが、「今の園ではそんな役職、自分に回ってきそうもない」という方もいると思います。
そうであれば、別の園の主任保育士の求人に応募して転職するのもアリですね。
園が30代保育士に期待するものとは?
人手不足の保育園業界ですが、30代保育士に比べれば、やはり20代保育士の方が需要が高いです。
なぜなら、「若さ」「体力」「働かせやすい」「使いやすい」など園にとって都合がよいことが多いからです。
しかし、それでも30代保育士を採用したい場合もあります。
30代保育士だからこそ期待していることがあるんです。
それはズバリ、「即戦力」です。
経験値のある30代保育士を雇うことで、「細かな指導をしなくても、すぐに一人前に動いてもらえるはず」と思っているんです。
それから、20代保育士には負けますが、まだ30代なので体力と気力があります。
特に、新園や小規模保育園では現場での戦力を整えていないと、保育が回らなくなります。
なので、経験値と体力の両方がある人材を求める傾向があります。
期待している経験値とは、保育はもちろんですが、パソコンでの書類作成、行事リーダー、保護者対応、など園の仕事のすべてを指します。
園によって方針や細かなやり方の違いはあるでしょうが、共通する部分も多いはずです。
これまでの経験からそういったことをすぐに理解して動ける30代保育士は、かなり期待されている存在なんです。
それから、30代の保育士であれば、すでに社会人としてのマナーやルールを知っています。
色々な困難も乗り超えてきていて、打たれ強さや社会人としての落ち着きがあります。
つまり、20代の新卒保育士にするような、社会人としてのマナーやルールについての指導はいらないわけです。
それをせずとも、即戦力で働いてもらえるというのは効率的ですよね。
また、30代保育士を雇う場合は、中堅保育士として若手保育士を育てる立場になってほしいという思いもあります。
さらには、いずれ主任などの役職に就いて働いてほしいと考えている場合もあります。
現場経験を活かして、園の運営に携わる立場になって力を発揮してほしいと期待しているんですね。
さらには、30代保育士は保護者とも年齢が近いので、「保護者対応がうまくできるのでは」と期待されています。
もし結婚していて子どももいれば、なおさら保護者の苦労や悩みに共感でき良い関係を築きやすいですよね。
これは、結婚や出産などでブランクがある30代保育士の方、そして資格は持っているけど未経験の方でも当てはまります。
プライベートで子育て経験があるのはそれだけで大きな強みであり武器になります。
なぜなら、子どもが生まれてからどのように成長していくかを目の当たりにしていて、子育ての喜びや不安を実体験しています。
つまり、保護者である親の気持ちをよく理解できるんです。
20代保育士では、若さゆえ保護者との関係がなかなかうまく作れない場合も多いです。
でも、30代保育士で子育て経験があれば、ずっと保育士を続けてきた方だけでなく、ブランクがあったり未経験だったりしても、保護者対応力には大いに期待できるんです。
30代保育士は敬遠される場合も。その理由は?
ただ、一方で30代保育士を雇うのを敬遠する園もあります。
なぜなら、30代保育士は経験がある分自信もあるので、園としては扱いにくい存在になる可能性があるからです。
もともと主任として採用するならいいのですが、ヒラの保育士として採用するとなると、いくら30代で経験があっても他の保育士とは同等です。
もちろん、30代保育士にふさわしいリーダーシップは発揮してほしいですが、それと同時に職員関係をうまく築けるのかが気になります。
少しでも、「前の園ではこうだった」「こんなやり方見たことがない」などの、園や同僚を批判するようなことを言うと、すぐに人間関係がギクシャクします。
初めはとにかく謙虚に、園の方針や同僚のやり方にならう気持ちでいてほしいですが、経験や自信が邪魔をしてそれができない方もいるんです。
また、経験のある30代保育士を雇うと、20代保育士に払うよりは多く給料を多く払わなければならないのもネックです。
もちろん、園の裁量で安くしてもいいのですが、一般的には年齢や経験によってプラスαした額の給料を払うものです。
人件費は、園の運営費の中でもかなりの部分を占めるので、できれば安く済ませたいのが本音なんです。
そして、家庭があり子どもがいる30代保育士だと、
- 「子どもの理由で休むことが多いのではないか」
- 「そのために他の同僚にしわ寄せがきてしまうのではないか」
と不安視されます。
せっかく人を雇うのに、急に休むリスクがある人や家庭の事情で自由がききにくい人を採用したくはありませんからね。
30代保育士がアピールできる「強み」とは?
このように、30代保育士は、雇う園によっていろんなふうに思われていますが、要はあなたの強みが園の期待することと合えばよいわけです。
では、30代保育士としてアピールできる強みには何があるのでしょうか。
まずは、保育経験ですね。
0歳児~5歳児までの保育を一通り経験できていればオールマイティです
新しい園に採用され、どの年齢の担任になってもそう大きく迷うことなく保育できるので即戦力ですよね。
そして、20代保育士にはかなわないながらも、まだ若さと体力があるのが強みです。
また、社会人としてのマナーやルール、そして社会の厳しさを知っているのも30代保育士の強みです。
そう簡単にへこたれることはなく、いろいろな局面を乗り越える力を持っていますよね。
もし、あなたにその気があれば、今までの経験値を活かして役職にチャレンジしたいという前向きさを伝えるのもよいと思います。
さらに、独身であれば自由になる時間もあるので仕事に注力しやすいですね。
逆に、すでに結婚していて子育て経験があれば、それもそっくり役に立つ場合があります。
子育てには体力がいりますから、その分健康管理に気を使って普段から丈夫に過ごしているはすです。
そして、子育て経験から、「保護者の気持ちに寄り添える」ということも大きな強みです。
ただし、それと同時に仕事と子育てとの両立がキチンとできることもアピールする必要があります。
「子どもが熱を出したときにはどうするのか、代わりに見てくれる人がいるか」などが伝えられると園にも安心してもらえます。
これらの強みは、「園が求める30代保育士とはどんな人材なのか」を知ったうえでアピールしなければなりません。
たとえば、現場でクラス担任として働く保育士を求めている園に、「現場の経験を活かして主任職にチャレンジしたいです」と語っても響きませんよね。
つまり、園が求めている人材とあなたの強みを合致させることで、アピールがより生きてくるし、「この人に来てほしいな」と思ってもらえるんです。
30代保育士の転職先の種類とは?
では、30代保育士が転職する時の転職先にはどんなところがあるのでしょうか?
これまでの経験を活かすとしたら、働いていた園と同じようなタイプの保育園がよいとは思います。
ただ、できるだけよい求人が見つかるようチャンスを増やすなら、職場のタイプを限定しない方がよいです。
具体的には、
- 企業内保育所
- 院内保育所
- 幼稚園
- 学童保育
- 児童福祉施設
- 託児所
- 幼児教室
なども視野に入れてみてはどうでしょうか。
たとえば、幼児教室では、「30代の方歓迎」という求人を出しています。
幼児教室も保育士資格を活かして子どもたちを相手にする仕事です。
これまでの保育園でのスキルが活かされないということはありません。
仕事内容や給料、勤務時間などさまざまな条件に納得できるのであれば、新しいキャリアにチャレンジするのも選択肢の一つです。
このように、一般的な認可保育園や認可外保育園だけではなく、色々な施設に目を向けて探してみると、新たな発見や興味が広がるかもしれません。
つまり、「資格とスキルを活かせる職場はどこか?」に注目して、広く求人を探すことがポイントです。
他職種への転職はかなり厳しい
「視野を広げて」と言っても、保育士以外の職種にまで広げると、転職はかなり厳しくなります。
これまで10年以上も保育士として働いてきたあなたに対して、「なんで今さら全くの未経験の他職種に転職する?」と、応募先は不審に思うんです。
面接でも、そこはかなり突っ込まれるでしょう。
そのとき、応募先が納得できる転職理由が言えたり、役立つスキルがあることをアピールできたりすればよいですが、それは相当難しいです。
たとえば、一般事務などの転職は、30代にはいれば保育園業界以上に不利になりやすいです。
一般事務の経験がある人でさえも転職しにくいのに、まったくの未経験でしかも畑違いの保育士が応募しても、採用される可能性は限りなく低いです。
どうしてもやってみるなら、不採用が続いてもへこたれない強い気持ちが必要です。
そして、粘り強く応募や面接を続けた結果、どこにも採用されないことも覚悟のうえで踏み切るべきでしょう。
さらに言うと、そんな大変な思いをして他職種に転職した方でも、結局は、「やっぱり保育が懐かしいな」「子どもと接する仕事がしたい」と、保育園に戻ってくることは多いです。
30代保育士の方が他職種への転職を考える場合は、そんなことも頭に入れながら慎重に検討したうえで進めてくださいね。
公立保育園の正規職員は得策とは言えない
30代保育士の方の中には、「公立保育園の正規職員ってどうだろう?」と思う方がいるかもしれませんね。
公立保育園の正規職員になるためには、その自治体の職員採用試験を受ける必要があります。
そして、自治体によって受験資格に年齢制限を設けています。
その基準は自治体によって違うので、ホームページや広報などに載っている受験要綱を確認してください。
公立保育園の保育士は公務員なので、待遇は公務員と同じです。
その待遇の良さは折り紙付きですが、採用人数が非常に少ない分、競争率が高いです。
また、一般教養から専門分野までの受験勉強はもちろん、面接や実技試験がある場合はその対策にも時間と労力がかかります。
それでいて、もし採用されたとしても保育園に配属されるとは限りません。
たとえば、区の所有する別の福祉施設などの部署に配属になる可能性もあるんです。
なので、やっぱり保育園と名のつくところで働きたいのであれば、公立保育園の職員に応募するのはあまり得策とは言えないですね。
ライフステージに応じて雇用形態の選び方が変わることも
30代の保育士は、ライフステージの変わり目が来ることによって転職を考えます。
たとえば、結婚、妊娠、出産などですね。
そういった、ライフステージに応じて雇用形態を選びなおして転職することも、時には必要ですよね。
たとえば、正社員ではなくて、パートや派遣社員や契約社員として働く選択肢もありますね。
それらの雇用形態であれば、勤務日数や時間を短くして働けたり、フルタイムだとしても、「1年間だけ働く」など契約期間が決まっていたりします。
なので、
- 「いつ妊娠しても気兼ねせずに辞められる」
- 「子どもがいても家庭のための時間が取りやすい」
といったメリットがあります。
ずっと正社員として働ける環境があればよいですが、それが難しい30代保育士の方もいます。
ならば、一時的にパートなどの雇用形態に変えて、また時間や条件が許す状況になったら正社員として働くのもアリだと思いますよ。
30代保育士が転職する時の5つの心構えと注意点
ここからは、30代の保育士の方が転職する時の5つの心構えと注意点についてお伝えしますね。
それは、
- 次の園を見つけてから辞める
- すべての条件は通らないので絞り込む
- 経験に応じた実力が求められる
- 転職後のライフイベントはタイミングを見計らって
- 新しい園のやり方を素直に受け入れる
です。
次の園を見つけてから辞める
大事なことですが、必ず次の転職先が決まってから辞めるようにしましょう。
「少しゆっくりしてから転職活動すればいいや」などとのんびりした後、転職活動を始めてみたけど、「なかなか仕事が決まらない!」ということもあります。
そうすると、焦ってしまい求人選びがおろそかになってしまいます。
「とにかく早く決めなくちゃ」という気持ちから、ミスマッチな園を選んでしまう可能性があるんです。
それでは、せっかくの転職が失敗に終わってしまいます。
そんなことにならないように、働いているうちに転職活動を進め、次の職場が決まってから退職するようにしましょうね。
すべての条件は通らないので絞り込む
30代の保育士の方の、転職先に求める希望の条件はいくつかあると思いますが、すべて通すのは難しいので絞っておくことが大切です。
なぜなら、30代の保育士の求人数は、20代の保育士に比べるとやはり少なくなってしまいます。
その分、あれこれとわがままを言うことはできません。
もちろん、あなたの希望の条件を挙げておくことは大事ですよ。
そして、どれが最も大切なのか、条件の優先順位を決めていくと思います。
ですが、あまり多くを求めて職場を選んでいると、「なかなか合う求人がない」「転職先が決まらない」などということになってしまいます。
なので、希望の条件のすべてを叶えようというのではなく、いくつかだけでも合えばラッキーと思っておくとよいですよ。
経験に応じた実力が求められる
園が30代保育士を雇うとき、その職務経験に応じた実力を発揮することを求めています。
なぜなら、30代保育士には若い20代保育士にはない、保育経験や社会人経験からくるさまざまな力があるはずだからです。
たとえば、0歳児~5歳児までの担任の経験があれば、子どもの発達や遊びの変化がわかります。
また、いろいろな保護者とも接してきているので、保護者のカラーによってどんな対応が望ましいのかもある程度わかっています。
さらに、保育以外の事務仕事を手早くこなし、月案やおたより作成でパソコンの扱いもそれなりにできるでしょう。
つまり、30代保育士ならば保育スキルやコミュニケーション能力、事務処理力などが身についているため、「一から教えなくてもできるはず」と思われるんですね。
そういった期待のもとに採用されることを知っておき、今の園も最後まで前向きに勤め、実力を高めていきましょう。
転職後のライフイベントはタイミングを見計らって
30代の保育士には、結婚や出産などのライフイベントが起こりやすいです。
ですが、転職した後は、そうしたライフイベントがすぐ起こらないよう、タイミングを見計らってください。
具体的には、転職したばかりなのに、「実は結婚するんです」「妊娠しました」などということがないように気をつけてください。
なぜなら、園としては、「30代保育士だからこそ即戦力になれる」と期待して雇っているわけです。
それなのに、園に十分に貢献する前に、プライベートな事情のために働きが鈍くなってしまうのでは困ります。
面接では、「がんばります!」と言っておいて、いきなり結婚や出産となってしまっては信用がなくなります。
同僚からも冷ややかな目で見られることになり、つらい立場に立たされてしまうこともあります。
なので、転職後せめて1年間は仕事に打ち込んで園長や同僚との信頼関係を作り、結婚や出産などは控えた方が無難ですね。
新しい園のやり方を素直に受け入れる
30代保育士の方が新しい園に転職できたときには、その園のやり方を素直に受け入れて早く慣れるように努力しましょう。
30代に保育士というと、これまで10年以上もキャリアを積んできているため、自分の保育観が確立されていることが多いですよね。
また、これまでの園のやり方も習慣になっているので、新しい園に対して「やり方が違う」と違和感を覚えやすいです。
なので、「もっとこうした方がいいのに」と思うことも出てくると思います。
ですが、その気持ちをすぐにストレートに表すのは、NGです。
転職してきた30代保育士が、いきなり園のやり方に意義を唱えだしたら、決してよくは思われません。
あなたの経験を活かすための意見を言うのはもう少し後です。
まずは、新しい園のやり方を受け止めて園になじむことで同僚との信頼関係を作ります。
そうしてから、「私、○○と思うんですけど、どう思いますか?」と相談する形であなたの意見を少しずつ伝えていくのがよいと思います。
あなたの経験を園に活かしていくことは大切ですし、期待されてもいますが、謙虚な気持ちを忘れてしまうとうまくいきません。
経験があってもそれに固執せず、新しい園ではまずは新人の気持ちで園のやり方を受け入れ理解することから始めましょう。
30代保育士の転職を成功させる4つのポイント
それでは、30代の保育士が転職を成功させるために必要な4つのポイントについてお伝えします。
それは、
- 希望条件の優先順位を決める
- 「30代の方歓迎」の求人を中心に応募する
- 園見学をする
- 保育士転職サイトを活用する
になります。
希望条件の優先順位を決める
まずは、あなたが転職して叶えたいことの希望を書き出しましょう。
そして、その希望の中でも特に譲れない条件は何かを絞り、優先順位をつけるようにします。
そうすると、求人を選ぶときの軸ができ、迷ったりブレたりしないで、希望に沿った園選びができます。
たとえば、
- 「毎日残業がなく、家に帰ってからの時間がゆっくりとれるような生活をしたい」
- 「もう少し給料アップさせて、貯金ができるようにしたい」
などの希望があれば書き出します。
そうすると、その希望を叶えるための、雇用形態、勤務地、給料、勤務時間、保育方針などの細かなことも自然と決まってきますよね。
ただ、30代保育士の転職は20代保育士ほど売り手市場とはいえません。
求人がないわけではないですが、採用されやすさは20代保育士にはかないません。
なので、すべての希望をかなえようというのではなく、優先順位を決めて絞り込み、妥協する点もあらかじめ決めておくとよいです。
そうすることで、選べる求人の幅が広がりますよ。
「30代の方歓迎」の求人を中心に応募する
30代保育士の方が求人を探す際には、30代の保育士を歓迎する内容が書かれているものをピックアップしましょう。
なぜなら、そういった園の方が30代保育士をピンポイントで求めているので採用されやすいからです。
たとえば、「ママさん保育士も働いています」「社会人経験10年以上の方歓迎」「主任や施設長のキャリア採用あり」などと書いてある求人は、30代保育士向きです。↓
上の求人は、「保育士資格があって実務経験がある方歓迎」「社会人経験10年以上の方歓迎」とも書いてあって、それは30代保育士の持つ即戦力を求めているということなんですよね。
求めている保育士の年代が何も書かれていない求人よりは、はっきりと、「30代」「ママさん保育士」「社会人歴10年以上」などと書いてある求人に応募した方が、採用の可能性が高まります。
それと同時に、「未経験、ブランク有りでもOK」「研修制度あり」といったことも載せている園があります。
つまり、保育士資格はあっても未経験の30代保育士や、ブランクがあって保育から遠ざかっていた30代保育士も、採用のチャンスがあるということです。
このように、保育士転職サイトの求人検索をしてみると、30代の保育士を歓迎しているものは意外とたくさんあるんです。
そういった言葉が書かれている求人を中心に探して、応募するようにしましょう。
園見学をする
そして、大切なのが園見学です。
もし面接までこぎつけたら、「その前に一度園見学させてください」と申し出てみましょう。
やはり、自分の目で園の様子を見てその雰囲気を肌で感じることはとても大事です。
あなたがこの園で働く姿を想像しながら見学すると、入職後のイメージがわき園とのミスマッチを防げます。
あなたはもう新卒ではないので、保育園業界の良さも悪さもある程度理解していますよね。
そういった知識や経験を思い起こしながら園見学すると、いろいろ感じることがあるはずなので、その時の印象を園選びに役立てましょう。
もし、見学しながら気が付いたことを質問できそうであれば、その場でしてしまうのもよいと思います。
もちろん、面接でも質問はできますが、場を改めてしまうと聞きたいことを忘れてしまったり、聞きにくかったりするかもしれませんからね。
とにかく、園見学はありのままの園の様子を把握する最も有効な方法なので、ぜひ行ってくださいね。
保育士転職サイトを活用する
これまで、転職を成功させるポイントとして、「希望の優先順位を決める」「30代保育士を求めている園を探す」「園見学をする」などをお伝えしてきました。
ですが、どれも、「自分一人でちゃんとできるかな?」と思うと不安だし、自信がないですよね。
なので、そんな30代保育士の方は、保育士転職サイトを活用して転職活動することをおすすめします。
転職は情報戦と言っても過言ではありません。
情報を知っているのと知らないのとでは、転職の結果の満足度も大きく変わってきますよ。
たとえば、保育士転職サイトに登録すると、キャリアコンサルタントが担当としてついてくれます。
その人と相談できれば、30代保育士の希望条件として何を大切にするべきか、コンサルタント経験を踏まえた参考意見を聞けます。
また、30代保育士向けの求人の選び方を教えてくれますし、施設の特徴や、雇用形態の違いなど細かいことも教えてもらえます。
園見学についても、キャリアコンサルタントが代わりに日程調整してくれるので、とても簡単に予定が決まりますよ。
保育士転職のプロに相談に乗ってもらえれば、何の心配もなく転職活動をすすめられますよ。
まとめ
30代保育士の方には、10年以上もの保育経験と社会人経験があります。
その経歴を振り返るとともに、今後のことを考えると、
- 「もっと保育スキルに磨きをかけて、より確かな実力を身につけたい」
- 「もっと居心地のいい、人間関係の良い園で自分らしく働きたい」
- 「生活を豊かにするために、もう少し給料をアップさせたい」
などと、いろいろな思いがわいてくると思います。
それが今の園でできるのか、転職して別の園で叶えられるものなのかを、一度じっくりと考えてみてくださいね。
そして、30代は結婚や出産などのプライベートな事情が起こってくる年代でもあるので、そうなると、今まで通りの働き方が難しくなってくることがあるんですよね。
それなら、あまり無理はせず、あなたの事情に合わせて働き方を変えてキャリアをつなげてみてはどうでしょうか。
30代保育士を求めている園はたくさんあるので、転職自体は問題ありません。
特に、転職のプロを活用することで、安心で効率的な転職活動ができますよ。
あなたのライフプランの実現に向けて、さっそく動き出してくださいね。