こんにちは! 現役保育士はなえみです(転職でホワイト園に巡り会えました!→ プロフィールはこちら)。
転職を考えるとき、「正社員」「契約社員」「派遣社員」「パート、アルバイト」などの中で、「どの働き方がいいのかな?」と考えますよね。
その中でも、「正社員は安定している」なんてよく言われますが、
- 「本当に正社員って安定しているの?」
- 「正社員にもデメリットがあるんじゃないの?」
- 「派遣社員とか、契約社員とかでもいいんじゃない?」
なんて思っていませんか?
この記事では、「正社員保育士」について解説し、さらに、「保育士が正社員として転職するときのメリット、デメリット」について詳しくお伝えします。
正社員保育士のすべてがよくわかるので、これからの働き方を選ぶ時のヒントになるはずです。
目次
正社員保育士とは
正社員保育士(正規保育士)とは、雇用期間の定めがなく採用された保育士のことを言います。
雇用期間の定めがないとは、「あなたが自ら辞めない限りは、定年まで働ける」ということです。
その反対に、雇用期間に一定の期限があるのが、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなどで、非正規保育士と言います。
正社員保育士は、園の主要戦力として活躍することを期待されており、責任を伴って働きます。
その分、給料や賞与(ボーナス)などの報酬はもちろん、各種手当や福利厚生などが充実しています。
園としても、正社員保育士にしっかりと働いてもらいたいために、安心の待遇で迎え入れ仕事と生活をサポートしているんです。
正社員保育士の仕事内容
正社員保育士の仕事内容は、多岐にわたっています。子ども一人一人に目配りしながら保育することはもちろん、クラス運営や保護者対応、その他さまざまな業務に携わりその責任を持つ立場で働きます。
具体的には、正社員保育士はクラス担任をします。子どもたちの成長を促す保育を日々計画、実践していきます。
また、園生活に必要なさまざまな仕事を担います。
たとえば、「年間計画」「月案」「週案」などの保育計画は、保育所保育指針にある、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域をふまえて立てます。
活動の前には必ず下準備が必要なので、それらを製作したり調達したりします。
また、正社員保育士は必ず職員会議に出席します。クラス運営や園運営に関して話し合い、役割分担して業務に当たります。
特に行事では、正社員保育士が各行事の担当者として、企画、運営します。
行事のリーダーとして動くことはもちろん、自分のクラスの発表内容を考え、子どもと一緒に練習に取り組んでいきます。
衣装や小道具作り、楽曲の準備などもします。
そして、正社員保育士は多くの書類を作成します。
日誌、週案、月案、クラスだより、連絡帳、児童票、小学校に提出する保育要録、事故報告書など本当に多くの書類があります。
これらの仕事は非正規保育士に頼むことはできません。
他にも、保護者対応は、正社員保育士ならではの重要な仕事です。
普段のお迎え時には、保護者とのコミュニケーションは欠かせず、子どもの様子を伝えたり家庭での悩みを聞いたりアドバイスをしたりすることもあります。
保護者の中には、精神疾患を持った方もいるので、対応には特別な配慮をしなければなりませんし、親子の様子から虐待が疑われれば、適切なルートに報告する義務もあります。
さらに、保育中に事故やケガがあれば保護者のお迎えを待って、直接謝罪し状況を説明しなければなりません。
細かいことを言えば、「アレルギー対応」「感染症対応」「うつぶせ寝防止」「お昼寝時の呼吸確認」などもあります。
正社員保育士の仕事は、これだけではなくまだまだあります。
とにかく、このような仕事には責任が伴うため、正社員保育士が対応する場合が多いです。
ただ、園によっては非正規保育士でも、正社員保育士と同等の仕事内容をこなさなければならない場合があります。
正社員保育士の給与
正社員保育士の給与についてですが、平成29年賃金構造基本統計調査によると、20~24歳の女性保育士の初任給の平均は18.7万円となっています。
そこから1~4年働いたときの給与額の平均は19.6万円になります。
5~9年では21.1万円。勤続年数が増えると、少しずつですが、正社員保育士の給与額は上がっていきます。
そして、毎月の月給以外に、賞与(ボーナス)を支給する園は多いです。
金額は、「基本給×〇か月分」となっていて、園によってさまざまです。
平成29年には、厚生労働省による、「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善」が始まりました。
主任保育士になるまでの間に役職を設けて、昇給しやすい仕組みを作ったんです。
たとえば、「職務分野別リーダー」にはプラス月額5千円、「副主任保育士」と「専門リーダー」には月額4万円プラス。
これらの役職になるためには、一定の経験年数が必要で、決められた研修を受ける必要があります。
ちなみに、非正規保育士の場合は、昇給やボーナス、退職金がないなど、給与面で正社員保育士より不利になることが多いです。
正社員保育士の労働時間、休日
正社員保育士の労働時間は、1日に8時間、週に40時間労働となります。
園によっては、1日7時間45分労働などの場合もありますが、いわゆるフルタイムで働くことになります。
保育園はほとんどが12~13時間開園しているので、職員はシフトを組んで勤務します。
つまり、「早番」「遅番」「延長番」など、呼び名は園によりますが、「当番」をこなさなければなりません。
当番は、代わりがきかないので、その日は休みを取ったり、遅刻、早退したりはできません。
そして、正社員保育士は、行事などが近づいてくると、その準備のために残業することが多いです。
残業だけで間に合わない場合は、仕事を家に持ち帰り休日にやらなければならなくなる場合があります。
休日は、「日曜、祝日のみ」「基本的に土日祝日休み、シフトで土曜出勤がある」という園が多いです。
土曜出勤は、「月に2、3回」の場合や「2、3か月に1回」など、幅広いです。
土曜出勤の分は「振替休日がある」「お金でもらえる」「土曜も普通に勤務日なので振り替えなし」など、対応もさまざまです。
非正規保育士の場合でも、正社員保育士と同等の労働時間で、当番もしなければならないことがありますし、当番や残業が免除されている園もあります。
正社員保育士の待遇、福利厚生
続いては、正社員保育士の待遇や福利厚生についてです。まず、よくある待遇が、さまざまな「手当」です。
たとえば、「通勤手当」「住宅手当」「被服貸与」「食事手当」などの諸手当を設けていれば、それも月給に加えて支給されます。
そして、退職金制度を設けている園であれば、規定の年数以上働けば退職金も出ますよ。
そして、正社員保育士には、さまざまな福利厚生が用意されています。その中の代表的なものとして、「社会保険」が挙げられます。
社会保険とは、「雇用保険」「健康保険」「介護保険」「労災保険」「厚生年金保険」の5つです。
雇用保険に入っていれば、失業の際に給付金が受け取れます。健康保険があれば医療費が3割負担ですみます。
介護保険は介護認定の対象となったときに要介護度に応じた介護サービスを受けられます。
労災保険は勤務中や通勤途中の事故によるケガや病気の時の生活を保障してくれます。
厚生年金保険は、老後に一定額の年金が受け取れます。
そして、休暇や休業も整っています。年次有給休暇は、採用から6か月の雇用期間を過ぎ、所定の労働日の8割以上出勤していれば、10日間与えられます。
そして、勤続年数が増えるとともに、有給休暇日数も増えていき、6.5年以上働けば年間20日間もらえます。
他にも、産前産後休業、生理休暇、育児休業、介護休業、子の看護休暇、裁判員休暇などの法定休暇はもちろん、園によって独自に設定されている、特別休暇(夏季休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、バースデー休暇、その他)などがあります。
また、園によって独自に福利厚生を設けています。
たとえば、「定期健康診断」「研修制度」「福利厚生施設優待」などいろいろあります。
以上の中には、非正規保育士にも該当するものも多くありますが、正社員保育士の方が受けられる福利厚生の幅が広いことがあります。
正社員保育士の待遇や福利厚生が充実しているのは、「正社員保育士の生活を安定させ、安心して長く働いてもらうため」と言えます。
正社員保育士に転職する5つのメリット
それでは、ここからは「正社員保育士に転職する5つのメリット」について解説します。
それは以下のようになります。
- 解雇の心配がなく、長く安定して働ける
- 責任ある立場での経験を積むので、社会人としての信用を築ける
- 保育士としてのスキルを高められる
- 昇給によって給料が上がり、各種手当、ボーナスなどが出る
- 福利厚生が整っている
では、一つずつ見ていきましょう。
解雇の心配がなく、長く安定して働ける
まず、正社員保育士は、解雇の心配がなく、長く安定して働けます。正社員ということは、雇用期間の定めがありません。なので、あなたが辞めたいと思わない限り、定年まで働き続けられます。
つまり、非正規保育士のように、「契約期間が終了したら仕事がなくなる」という心配がありません。
仕事がなくなれば、生活自体がおびやかされますからね。そういった心配は、精神的にとてもきついものなんです。
また、正社員保育士であれば、遅刻や早退、職場内でのトラブル、保護者からのクレームなど多少の問題はあっても、簡単には解雇されません。
就業規定に反し、園に大きな損害を与えるようなことをしない限りは解雇されることはありません。
つまり、正社員保育士は仕事が安定的に継続できるので、精神的にも金銭的にも安心して生活できるんです。
責任ある立場での経歴を積むので、社会人としての信用を築ける
正社員保育士は、責任ある立場での経歴を積むので、社会人としての信用を築くことができます。
正社員ということは、園の主要な戦力として活躍することを期待されており、責任ある立場での仕事を任されます。
責任ある仕事は負担が大きく、苦労や悩みはつきものです。だからこそ、その困難を乗り越えていった経験が、社会人としての信用につながるんです。
今後、さらに転職するかもしれないのであれば、正社員保育士の経歴があれば必ず有利になります。
「正社員保育士として責任ある仕事を務めてきた人物」として高評価につながるんです。
保育士としてのスキルを高められる
正社員保育士は、保育士としてのスキルを高められる雇用形態です。
なぜなら、正社員保育士は補助的な仕事ではなく、クラス担任をし、クラス運営のすべてに責任を持って仕事をこなしていくからです。
特に、5歳児の担任を経験するとスキルが高まります。
たとえば、5歳児ともなると、子ども一人一人が精神的に成長しているので、しっかりと気持ちを受け止めなければなりません。
さらに、友達とのかかわりを深めていくために、5歳児にふさわしい集団活動を工夫し充実させる必要があります。
正社員保育士であれば、そのような難しい5歳児担任を経験でき、保育スキルを高められます。
また、雇用契約の定めがなく長く勤められるため、0歳児~5歳児のすべての年齢のクラス担任を経験できるチャンスがあります。
保育士として、各年齢の担任を経験することは重要です。正社員保育士であれば、すべての年齢の保育スキルを段階的、継続的に見ていくことができますね。
昇給によって給料が上がり、各種手当、ボーナスなどが出る
正社員保育士の給料は勤続年数が長くなればその分昇給があり、金額が上がります。
また、各種手当がつき、ボーナスも出ます。
なので、今後の生活の見通しが立てられ安心です。
特に、月給以外にボーナスとしていくらかでもまとまったお金がもらえるのはとても助かりますよね。
少しずつでも貯金をし、たまには贅沢ができれば、心にゆとり出てきます。
「また、明日から仕事を頑張ろう!」というモチベーションにもつながりますよね。
ちなみに、園にもよりますが、正社員保育士が一定の期間勤めると退職金が出ることがあります。それがもらえるのであれば、次の職場を見つけるまでの間の生活費の足しにできます。
福利厚生が整っている
正社員保育士には、福利厚生が整っています。たとえば、有給休暇や産前産後休業、育児休業、夏季休暇、慶弔休暇など、いろいろな事情に合わせて休みを取れるので、働きやすいです。
また、「福利厚生優待施設」があれば、レジャーのときにお得に利用できます。
「健康診断」「予防接種」をしてもらえれば、健康を維持しながら働けます。
このように、正社員保育士には、生活をバックアップいてくれるいろいろな福利厚生があるので、何かと便利ですし助かりますよ。
正社員保育士に転職する2つのデメリット
次に、「正社員保育士に転職する2つのデメリット」について解説しますね。それは、
- 責任を負う立場として、プレッシャーを感じる場面が多い
- 業務量が多く、残業や持ち帰り仕事に追われる
の2つです。では、具体的に説明しますね。
責任を負う立場として、プレッシャーを感じる場面が多い
正社員保育士は、責任を負う立場なのでプレッシャーを感じる場面が多いです。
たとえば、子どもは思わぬところでけがをしたり、突然ケンカを始めたり、そのせいで引っかきや噛みつきが起こってしまうこともあります。
そうなると、たとえその日、担任の正社員保育士が早番だったとしても、保護者が帰ってくるまで残っていなければなりません。
そして、保護者に直接会って、謝罪と状況説明をしなければならないんです。
保護者が納得してくれればよいですが、そうでないと、責められてしまうこともあり、担任は精神的にダメージを受けてしまいます。
また、運動会や発表会では、クラスのダンスや歌、合奏などの演目を立派に完成させ、披露しなければなりません。
そうでないと、同僚や保護者から、「担任の指導力不足」と言われてしまいます。
それでは練習を楽しむどころか、行事がプレッシャーで苦痛になってしまいます。
もちろん、他にも正社員保育士には担うべき責任がたくさんあります。
それをやりがいと感じられれば良いですが、そうでなければ、大変さばかりが先に立ってしまい、気が重くなります。
業務量が多く、残業や持ち帰り仕事に追われる
正社員保育士は業務量が多いうえに、責任を持ってその業務をやり遂げなければならないため、残業したり、休日には仕事を家に持ち帰ったりすることがあります。
たとえば、正社員保育士の仕事は保育だけでなく、かなりの事務や諸作業があります。
ですが、保育園が開園している間は、必ず子どもがいるので保育に当たらなければならず、事務作業などはできません。
子どもの昼寝時間中にそれらの事務をしたとしても終わらず、子どもが降園した後の時間を使わないと間に合わない業務がたくさんあるんです。
もちろん、部分的になら非正規保育士に手伝ってもらうことはできますが、正社員保育士でないとできない、責任のある書類作成などは自分でやらなければなりません。
そのために、正社員保育士は業務量が多くなりがちで、残業をしたり仕事を持ち帰ったりすることがあります。
正社員保育士の経歴を積むなら20代がベスト!
保育士が正社員保育士の経歴をつむなら、若さと体力と時間がある20代がベストです。
なぜなら、正社員保育士は責任ある立場であるためストレスを抱えやすいんですが、20代の保育士であれば、若さと体力と自分のために使える時間があり、回復しやすいからです。
たとえば、残業でストレスがたまっても、若さと体力があればダメージが少ないですよね。
また、休日はすべての時間が自分のために使えるので、趣味を存分に楽しんで気分転換もできます。
しかし、30代になって、たとえば結婚して家庭を持って子育てするようになるとそれは難しいです。
仕事から帰れば家族のために家事をしなければならず、体力回復やストレス発散のために時間を使うことはなかなかできません。
それに、仕事に全力投球したい気持ちはあっても、子どもがいれば、保育園に送迎したり、子どもが病気になれば仕事を休んで看病しなければなりませんよね。
夫の仕事があなたよりさらに忙しい場合、あなたの代わりに仕事を休んで子どもを見てくれることなんて到底不可能です。
そうなると、早番や遅番、残業、休日出勤などをこなすことも難しくなってきます。
もし、あなたの両親が近くに住んでいて手伝いを頼めれば、なんとか正社員保育士を続けられるかもしれません。
ですが、そんな周りの支援も何もない場合は、その時の事情でやむなく非正規保育士(派遣社員、契約社員、パート、アルバイトなど)として働かざるを得なくなることもあるんです。
つまり、「非正規保育士になろうと思えばいつでもなれるけど、正社員保育士は環境的な条件が整わないと難しい」ということなんです。
その条件が整いやすいのが、「20代の若いうち」ということになるんですね。
そんな恵まれた条件の整っている20代に、あえて、「楽だから」「責任のある仕事は嫌だから」という理由だけで、正社員保育士を選択肢から外すのはもったいないですよ。
保育士のスキルを思う存分に高めて、それを未来の自分のキャリアにしようと思ったら、正社員保育士の経験を20代のうちにしっかりと積んでおくことが重要です。
あなたの今後の人生を考えた時に、正社員保育士の経歴は間違いなくあなたの武器になりますよ。
まとめ
正社員保育士は、「安心・安定」がもっとも特長的で、メリットの大きい働き方であり、雇用される園から、さまざまな面で守られ優遇されています。
その分、園を背負って立つ戦力として大いに期待され、さらに、その責務を果たすことが求められるんですね。
なので、プレッシャーや仕事量は多くなりがちですが、正社員保育士のキャリアは、確実にあなたにプラスになります。
特に転職する場面では、正社員保育士の経歴は信用されやすく、有利に働くんですよね。
もし、正社員保育士で働くかどうか迷いがある場合は、保育士転職サイトに相談してみてはどうでしょう。
保育士転職サイトはさまざまな雇用形態の求人を扱っています。あなたの場合はどの雇用形態が合うのか、話を聞いたうえでアドバイスしてもらえますよ。
「正社員」という立場を単なるプレッシャーと感じるか、それともキャリアアップできるひとつのステップと考えるのかは、あなた次第です。
「今」だけでなく「未来」を見通したうえで、どんな働き方をすべきか、慎重に考えてみてくださいね。