これまでの転職回数が多いことが気がかりな保育士の方は多いです。
転職するときの面接では、「きっと転職回数が多いことを聞かれるだろうな」と予想しつつも、
- 「転職回数が多いと、どう見られてしまうんだろう?」
- 「前の園を辞めた理由は、正直に言ってもいいのかな?」
- 「面接を成功させるための秘訣って何?」
なんて、心配になりますよね。
この記事では、「転職回数が多い保育士の方が、採用面接で失敗しない答え方」を、具体的な例文10個を添えて解説していきます。
せっかく面接までこぎつけたこのチャンスを、ぜひとも採用に結び付けられるよう、例文をぜひ参考にして、あなたなりの答えをしっかりと準備してくださいね。
目次
転職回数が多いと、面接ではマイナスに見られがち
はじめに、気になるのが、「園の採用担当者は、転職回数が多い保育士のことをどう見るのか?」ということですよね。
よく見られがちなのは、
- 忍耐力がなく長続きしない人
- 人間関係のトラブルのもとになっている人
- 保育スキルが乏しく、戦力にならない人
というもので、残念ですがいずれもマイナスイメージです。
では、どうしてそうなってしまうのか具体的に見ていきましょう。
忍耐力がなく長続きしない人
保育士歴に比べて転職回数が多い場合、「忍耐力がなく、仕事が長続きしない人」という印象を持たれます。
たとえば、「保育士歴5年で転職回数が2回」というAさんと、「保育士歴2年で転職歴3回」というBさんとでは、Bさんの方が明らかに一つの園の勤務年数が短いですよね。
もちろん、正当な転職理由があるのかもしれませんが、パッと見たときに勤務年数が細切れなBさんは、「なんでこんな短期間で辞めたのか?」と普通に疑問に思われます。
採用する方としては、「できるだけ長く働いてもらって、園に貢献できる人材になってほしい」というのが本音なんです。
なので、「忍耐力があるか」「仕事が長続きしそうか」を見極め、短期間で辞めてしまう可能性がある保育士であれば、採用したくありません。
人間関係でトラブルのもとになっている人
次によく見られがちなのが、「職場の人間関係のトラブルのもとになっているのではないか」ということです。
転職回数が多い理由として、「職場の人間関係が悪くて…」と面接で話す保育士の方は多いです。
けれど、それを聞いている採用担当者は、「周りのせいにするの?」「本当はあなた自身に問題があるのでは?」とあまり良い印象を持たないんですよね。
実際、あなたには何の落ち度もないのかもしれませんが、採用担当者にはそんなことわかりません。
「何も知らない第三者に、前の職場の悪口を言うような保育士」と思われてしまっては、あなたのイメージがダウンしてしまいます。
「自分は被害者で、周りが悪い」と言う人に限って、トラブルメーカーだったりしますからね。
そんな保育士を採用してしまったら、これまでうまくいっていた園の人間関係やチームワークが崩れてしまうかもしれません。
それだけに、採用担当者の応募者を見る目は厳しく、責任は重大なんです。
なので、どんなに素晴らしい保育士スキルを持っていても、職場での人間関係をうまく作れない保育士は採用したくないんです。
保育スキルが乏しく、戦力にならない人
そして、転職回数が多いと、「保育スキルが乏しく、戦力にならない人」と思われてしまうことも多いです。
なぜなら、転職回数が多いということは、一つの園ごとの勤務年数は短いはずです。
そうすると、保育スキルを習得するまでにはいかず、「戦力になる前に辞めてしまっている」と思われてしまうんです。
「そんな細切れの保育経験で、ウチの園に貢献できるのか」と、採用担当者は不安に思います。
せっかく採用するのですから、本当ならばすぐにでも保育スキルを発揮できる保育士に働いてほしいはずです。
勤務年数が少なく転職回数が多いと、「きちんとした保育技術が身についていないのでは?」「なぜもっと保育経験を積んでスキルを深めなかったのか」などと、採用担当者は疑念を抱きます。
以上のように、転職回数の多い保育士はあまりよいイメージでは見てもらえないことが多いです。
ですが、「転職回数が多い保育士には、面接のチャンスが全くないのか」というとそうでもありません。
あなたの履歴書を見て転職回数が多いことを理解したうえで、面接の声がかかることはあります。
たとえば、履歴書の志望動機や自己PRからあなたに興味を持ってくれて、もっと詳し話を聞きたいと思ってくれる園もあります。
もしそんなチャンスが巡ってきたら、面接を最大限に活かして、転職回数のハンデを吹き飛ばすようなアピールをする必要がありますね。
転職回数が多い保育士が面接でアピールする3つのこと
では、転職回数の多い保育士が転職の面接で失敗しないために、どんなことに気をつけて答えればよいのでしょうか。
そして、アピールのコツとはどのようなものでしょうか。
それは以下の3つになります。
- 前向きな退職理由を述べ、採用担当者を納得させる
- 経験の豊富さやそこから学んだことをアピールする
- これからのキャリアプラン、園への思いや仕事への意欲を表現する
では、一つずつ見ていきましょう。
前向きな退職理由を述べ、採用担当者を納得させる
転職の面接では、必ず前の園の退職理由を聞かれます。
その時に最も大切なのは、「前向きな退職理由を述べて、採用担当者を納得させる」ことです。
特に、転職回数が多い場合は、「転職回数が多いようですね」と指摘されることもあります。
それについても、動揺しないで済むように、採用担当者が納得できるような答えを用意しておきましょう。
なぜなら、採用担当者は転職回数が多いあなたに対して不安を感じています。
たとえば、「またすぐにやめてしまうのでは?」「人間関係のトラブルを起こすのでは?」「保育スキルが乏しく園に貢献できないのでは?」などと、転職回数の多さに警戒心を抱いています。
なので、採用に近づくためには、そんな不安や疑問を取り除いてあげなければならないんです。
たとえば、「先輩や園長との折り合いが悪く、人間関係に耐えられなくなって辞めました」「いざ働いてみると、どの園の保育のやり方も私には合わなかったので辞めました」などという答えでは納得してもらえません。
これでは、いかにも原因は他者や環境にあり、「自分には責任がない、周りが悪い」というような退職理由になり、採用担当者の心証は悪くなってしまいます。
もちろん、前の園は本当にブラック保育園だったり、あなたの保育観とは合わない園だったりして、あなたに責任はないのかもしれません。
ですが、それをそのまま言っても信用してもらえるとは限らず、あなたの評価は下がってしまいます。
つまり、望ましい退職理由としては、「自分のキャリアプランを実現するために退職した」「自分を成長させたいがために転職した」という前向きな内容にすることが重要です。
たとえば、
【例文1】
「私は保育士として、大きな集団を引っ張っていく保育や丁寧な乳児向けの保育などいろいろなスキルを身につけたいと思っていました。
そのためには、大規模園や小規模園、それぞれでの経験が必要と考え、転職することで計画的にスキルアップを目指してきました」
というような内容です。
そうすれば、これまで働いてきた園に不満があるということではなく、「あくまで自分なりの目的意識があっての計画的な転職である」とアピールできます。
そして、採用担当者も、「この人は、行き当たりばったりで転職を繰り返してきたわけではないんだな」と思え、安心して採用の検討ができます。
ちなみに、「家族の介護のため」「引っ越ししたため」「閉園してリストラされてしまったから」などの退職理由は、やむを得ない事情に思えますが、注意が必要です。
これまで働いたすべての園の退職理由がそれだと、「そんなに都合よくいろんなことが起こるかな?」と怪しまれてしまうからです。
部分的に使うのはアリだとは思いますが、使いすぎには注意してくださいね。
経験の豊富さやそこから学んだことをアピールする
もう一つの答え方のコツは、「転職回数が多いからこそ、経験が豊富で多くのことを学んできた」とアピールすることです。
「その経験を役立てて、貴園に貢献できる」と伝えましょう。
たとえば、「保育に英語カリキュラムを取り入れてきた」「食育を行ってきた」「運動会や発表会の運営リーダーをやった」「乳児組も幼児組も担任した経験がある」など、さまざまな保育経験があると思います。
どれもそう特別なことではないかもしれませんが、あなたがこれまでの仕事で得た貴重な経験です。
あなたなりに努力したことや身についたことをきちんと話せればそれがあなたの強みになりますよ。
では、具体的な例を挙げてみますね。
【例文2】
「転職回数が多いですが、その分園のカラーをいち早く理解し、柔軟性を持って仕事に当たる力が身につきました。
なので、貴園においてもスムーズになじんで戦力になれると思います」
【例文3】
「これまでの園では、私の得意なピアノを活かして、いろいろな形のリトミックを経験しました。
貴園でのリトミックのやり方を学びながら、これまでの経験も活かしさらにリトミックのスキルを伸ばして貢献したいと思っております」
【例文4】
「これまで勤めてきた園では、何度か保護者対応で苦慮した経験があります。
そこから保護者対応の難しさや問題解決方法を学びました。
保護者の気持ちを受けとめ信頼関係を作ることを心がけ、保護者には細やかな配慮をしながら対応したいと思います」
というような感じです。
そうすると、「転職回数が多いからこそ、豊かな保育経験があるのだな」とか、「これまでの経験を自分の成長に結び付けているから、園に貢献してくれそう」などと、ポジティブにとらえてもらえますよ。
もしかすると、これまで保育園ではない職場への転職経験がある方がいるかもしれませんね。
でも、それもあなたならではの貴重な経験です。職種が違っても決してハンデではありません。
たとえば、一般企業に勤めたことがあれば、
【例文5】
「会社員として働いた経験から、企業で働く保護者の仕事の大変さがよくわかります。
そういった意味では、保護者と話を合わせやすく、苦労を共感できることが私の強みです」
などと言えるのではないでしょうか。ほかにも、
【例文6】
「私は営業職を経験しましたが、そこでは取引先とのやりとりがあり、コミュニケーション能力が磨かれたと思います。
なので、園の保護者や同僚とは良い関係を築ける自信があります」
【例文7】
「これまで、いろいろな職場で働いてきたので、環境には順応しやすく精神的にも鍛えられたと思います。
協調性や柔軟性を発揮して働けると思います」
などとアピールするのもよいですね。
これからのキャリアプラン、園への思いや仕事への意欲を伝える
最後に大事なのは、「あなたのこれからのキャリアプラン」を伝えるとともに、「応募園への思いや仕事への意欲」を表現することです。
つまり、「今後あなたが園でどのように働いていきたいのか」を採用担当者にしっかりと伝え理解してもらうことです。
そうすることで、あなたが将来のことも見据えた上で転職しようとしている姿勢が伝わります。
また、あなたが感じた応募園の魅力について、あなたの言葉で伝えられればより説得力のある話ができます。
たとえば、
【例文8】
「私は、小規模園から大規模園へと転職してきました。大規模園の保育はとても勉強になりましたが、やはりじっくりと子どもと向き合う小規模園の保育の方が向いていると感じました。
なので、今後は小規模園でいらっしゃる貴園で、これまでの経験を活かしながら長く働かせていただきたいと思っております」
【例文9】
「貴園の、“子どもたちの主体性を引き出す保育”について、とても共感しております。
私もこれまでの園でそのような保育を心がけてきました。
れからもそのスキルを高め、子どもたちの主体性に寄り添うことのできる保育士として、貴園でキャリアを積み上げていきたいと思っております」
【例文10】
「貴園が特に力を入れていらっしゃる食育についてとても興味を持ちました。
まずは貴園独自の食育を学ばせていただきたいと思います。
そして、これまで私が経験してきた食育指導で活かせるものがあれば、ぜひそれも合わせて子どもたちに伝えていけたらと思います」
というような感じです。
つまり、「貴園のココに共感したので、ぜひ貢献したい」そして、「これ以上転職する気はなく、貴園で長く働きたい」という思いをこめて話すことが大切です。
そうすれば、あなたがしっかりとした目的意識を持って転職しようとしていることが採用担当者に伝わります。
そして、「またすぐに辞めてしまうのでは?」という不安もぬぐい去ることができますよ。
まとめ
転職回数が多い保育士の方が、面接を成功させるためには、採用担当者の不安や疑問が解消できるような答えが言えることが必要です。
そのためにも、答える内容はしっかりと準備した上で面接に臨んでくださいね。
それは、転職回数が多いことの言い訳ではなく、これからの仕事に対する意欲や心構えをあなたの言葉で語ることです。
答え方の例文をぜひ参考にして考えてみてくださいね。
転職回数が多いことは確かにハンデとなるかもしれませんが、中には、「転職回数より、あなたの人柄を見て判断したい」という園もあります。
そんな園から面接の連絡が来たら、チャンスを最大限に活かしてくださいね。
また、面接を成功させるために保育士転職サイトに相談するのもよいですよ。
転職回数の多さをカバーするような答え方について、具体的なアドバイスをもらえるはずです。
転職回数が多いからといって悲観せず、「経験が豊富である」という強みに変えて、積極的にアピールしていきましょうね。